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言語聴覚学科通信

人工内耳特別講義

2月5日(木)、人工内耳メーカーである日本コクレア社(東京)のクリニカルサービス課山本誠先生においでいただき、人工内耳特別講義を実施しました。この講義は、毎年、言語聴覚学科2年生を対象に実施しているものです。 難聴、しかも高度な難聴が発見された場合、まず、補聴手段をどうするかが問題になります。難聴者の補聴手段という場合、一般的には補聴器が考えられますが、補聴器はある程度聞こえていないと効果が少ないと言われています。ほとんど聞こえていない場合は、人工内耳の適用を考えてみるという流れになります。 人工内耳というのは、耳の音を感じとる器官(内耳)に電極を挿入し、そこに直接情報を入れるというものです。機械は、内部装置(インプラント)と外部装置(スピーチプロセッサとマイクロホン)に分かれています。
インプラントの挿入は医師の仕事ですが、スピーチプロセッサの調整(マッピング)は言語聴覚士の仕事です。言語聴覚士は、「医師の指示」のもとに行う業務が非常に少ない職種です。ただし、人工内耳のマッピングは、医師と言語聴覚士との密接な協力体制が必要なため、「医師の指示」のもとに行う業務と決められています。 講義では、人工内耳のメカニズムや言語音を信号化する方法(コード化)といった既に講義で取りあげた内容だけでなく、通常は見ることができない内部装置や手術のDVD等についても紹介がありました。
講師の山本先生は、ご自身も言語聴覚士であり、病院での言語聴覚士の人工内耳臨床をバックアップする立場にあります。そこで得た結論は、人工内耳はあくまでも補聴手段であり、装着してからの訓練・指導が大切であるというものでした。効果的な訓練や指導を行うためには、医療機関の言語聴覚士だけでなく、教育機関や福祉機関の言語聴覚士との連携が不可欠です。最近、こうした動きが少しずつ具体化してきていますが、まだまだ不十分な状況が続いています。新しい言語聴覚士が、機関連携の問題とも積極的に取り組んでほしいと考えています。 人工内耳の装着によって聞こえるようになったことばが、日常的に使えることばへと進化していく過程は、「学習」の問題と深く関係しています。つまり、脳の機能や成熟の問題です。これまで、脳の問題は「言語」の領域で主に扱われていました。そのため、これまでの言語聴覚士は、聴覚と言語を別領域と捉える傾向があったように思います。人工内耳の問題が、こうした垣根を取り除き、より広い視野を持った言語聴覚士が増えていく契機になればと考えています。
90分×2コマという限られた時間でしたが、学生からの質問もあり、参加した学生にとっては充実した時間となったと思います。本学科では、人工内耳だけでなく補聴器に関する特別講義も実施します。最近の技術の進歩はめざましく、最新の機器に触れることは大切ですし、新しい考え方についても同様です。新しい情報に対して情報網を張り巡らせておくことは必要ですが、情報過多とも言える現代、今回のような特別講義を契機として、得た情報を取捨選択していく姿勢を学生には持ってもらいたいものだと考えています。


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