言語聴覚学科通信デジタル補聴器特別講義2月15日(月)、神奈川県相模原市よりシーメンス ヒアリングインスツルメンツ㈱の藤垣均先生においでいただき、「デジタル補聴器特別講義」を実施しました。藤垣先生は、認定補聴器技能者や特別支援学校の教員等を対象としたセミナーの企画や運営を主な業務とされています。当日はデジタル補聴器に関する講義だけでなく、藤垣先生の指導のもと、実際に最新のデジタル補聴器の調整(フィッティングと言います)を行いました。人工内耳に引き続き、言語聴覚学科2年生対象の授業です。 言語聴覚士の業務のなかで補聴器フィッティングは、正直言って余り重視されてこなかった分野です。耳鼻咽喉科に「補聴器外来」を設置している病院はたくさんありますが、これまでは補聴器装用の指示と装用後の評価は医師が行い、実際の器種選定やフィッティングは補聴器販売店の認定補聴器技能者が行うことが多かったようです。しかし、状況は確実に変化してきています。 大きな変化の一つとして、言語聴覚士が補聴器フィッティングを行った場合、診療報酬(点数)が算定されるようになったことがあげられます。有体に言えば、これまで病院としてはメリットの少なかった「補聴器外来」が、経営的にも意味を持つようになったということです。それゆえ、今後は「補聴器外来」を設置する病院が増えていく可能性は高いように思われます。「補聴器外来」が設置されると、当然、言語聴覚士が必要となります。また、「補聴器外来」という独立した部署は設置せず、耳鼻咽喉科外来でフィッティングを行うケースも考えられます。このように、これからの言語聴覚士にとっては、補聴器フィッティングの知識と技術は不可欠なものになるものと思います。 さて、最近の補聴器は、ほとんど総てがフルデジタル補聴器です。フルデジタルとは言いますが、入力と出力は通常の音、つまりアナログです。ゆえに、アナログである音をデジタル信号に変換して信号処理や制御を行い、さらにデジタル信号をアナログである音に変換して出力しています。フルデジタル補聴器はデジタル信号を扱いますから、一つのコンピュータと考えると良いと思います(CDプレーヤやiPodといった音響機器も同様ですね)。フルデジタル補聴器はコンピュータですから、フィッティングにはコンピュータが必要です。学生は2人一組になってフィッティング専用コンピュータを操作し、左右2台のフルデジタル補聴器のフィッティングを行いました。 フィッティング専用コンピュータにはフィッティングソフトが入っています。最近のフィッティングソフトは優秀で、患者さんの聴力を入力するだけで大まかな設定はやってくれます(ファーストフィッティングと言います)。しかし、患者さんが使いこなせる補聴器にするためには、さらに細かい調整が必要です。実は、ここからが言語聴覚士の腕の見せどころと言えます。補聴器を装用した状態で、スピーカから検査音を出力しての聴力検査を実施したり、ことばによる聴力検査(語音聴力検査と言います)を実施したりします。もちろん、最も大切なのは、患者さんとのカウンセリングであることは言うまでもありません。 > 補聴器のフィッティングは時間がかかり、しかも根気のいる仕事です。しかし、診療報酬を得る以上、いい加減なことはできません。学生には、今回の特別講義だけでなく、言語聴覚士免許を取得し、就職した後も、各メーカの主催するセミナーや自主的な勉強会などへ積極的に参加してもらいたいと希望します。これは、言語聴覚士が扱う他の分野についても同様です。言語聴覚士は、一生勉強が必要な職種です。
|